木造での家づくりを始める際に、まず最初に気になるのは、「どんな種類の木を使うか」ではないでしょうか。
その中でも家の要となる「柱」の木の種類(樹種)選びは慎重にいきたいもの。
そこで今回は、気になる強度や耐久力なども含め、柱に使われる主な樹種についてご紹介します。
柱に使われる木の種類(樹種)とは
一言で柱の樹種といっても、実は様々な種類の木が使われているのが現状。
主にホワイトウッド、レッドウッド、スギ、ヒノキ、ヒバ、マツなどが使われることが多いです。
もちろん、無垢材だけではなくホワイトウッドと呼ばれる欧州トウヒや欧州アカマツの集成柱、国産杉の集成柱も使われていますので、無垢材での家づくりをお考えの方は注意が必要です。
(無垢材と集成材は、一体どちらが良いのか?という疑問があると思いますが、こちらをご覧ください。)
昔から一般的に良く使われてるのは無垢の杉材です。
次いでヒノキ材、アカマツ材となっています
では、それぞれ、の特徴をご紹介しましょう。
まずは「杉」
杉は、流通量、柱材としての性能、コストパフォーマンスから見ても一番といわれています。
杉の心材(樹木の中心部分に近い濃い色の部分)は腐りに強く、強度も申し分ないです。
しかし、きちんと乾燥した材料を使うことが重要です。
続いて「ヒノキ」
西日本など、杉よりもヒノキの流通が多い地域ではヒノキがオススメです。
ヒノキ自体、耐久性もあり、蟻にも強く、とても優れた樹種です。
西日本では杉よりもヒノキの方がコストパフォーマンスが良いですが、東日本では、若干コストが高めになります。
そして「アカマツ」
ここでご紹介するアカマツは輸入材ではなく国産のアカマツといわれるものです。
希少価値の高い材木となりますので、コストは高めですが、国産の無垢材の中でもトップクラスの硬さを持った樹種です。
その為、柱としてはもちろん、曲げにも強いため梁に使うこともおすすめです。
柱の強さで家の強さも変わるの??
柱に使われる樹種についてご紹介してきましたが、このブログ以外も色々とご覧になっている方も多いと思います。
その中で圧縮性能など専門的な用語が度々登場していたのではないでしょうか。
「強さのことなのだろう・・・」とはわかるけど、いったいどの部分のどのような強さなのかは、はっきりとしないですよね。
木材の強さには、「縦からの荷重の強さ(縦圧縮強度)」、「引っ張った時の強さ(引張強度)」、「曲げ強さ」、「めり込み強さ」、物がずれる変形を起こす作用「せん断の強さ」など色々な種類があります。
簡単に説明しようとしてもどうしても、少し難しくなってしまいますね。
それもそのはず、建築をする場合、最終的には構造計算をして強度が間違いなく大丈夫なのかを判断するのですが、設計士の中でも構造計算専門の方がいるぐらい難しい分野となります。
もちろん樹種によって、圧縮への強さ、曲がりへの強さなどが変わります。
ですので樹種により強さはまちまちなのですが、今回ご紹介している樹種に関しては性能的に問題はないといえます。
構造計算をしている現在では樹種により構造の欠陥はほぼありえません。
大切なのは、そのハウスメーカーや工務店といわれる建築業者がきちんと構造計算をしているかどうかということです。
強度と耐久力って違うの?
柱の樹種が原因で新築の時点での構造的強さはあまり変わらないということはお分かりいただけたことと思います。
ですが「耐久力」は変わるのです。
よく耐震性や強度と耐久力を混同されることがありますが、長持ちするための耐久力という視点も持っていただきたいのです。
ここでいう「耐久力」というのは、木を腐らせない「耐朽性」です。
木は基本的に腐るものです。
自然界に存在する木は分解菌を介して分解、土へと戻っていきます。
その中でも、木には腐りやすい木、腐りにくい木があります。
例えば同じ一本の樹木でも部分によって腐りやすい箇所と腐りにくい箇所があるのです。
樹木の多くは、幹を輪切りにすると、外側の部分とその内側で色が異なります。
外側の白っぽい部分は辺材(白太)と呼ばれ、根から吸い上げた養分や水分を通して、生物としての活動をしているのに対して、中心に近い心材(赤身)と呼ばれる部分は、生物としての役割を終えた後で腐朽菌や虫の嫌がる物質を溜め込み、木の構造を維持する役割を果たしている部分です。
よって白い辺材部が腐りやすい部分で、一般に腐りにくいといわれるヒノキやクリでもこの部分はすぐに腐ってしまいます。
腐りにくい木の秘密は、心材に溜め込まれる物質が腐朽菌に対してどれほど抵抗力があるかで決まります。
一般的に、匂いのあるヒノキ、スギ、ヒバなどは、匂いのもとであるフェノール性の心材成分のおかげで腐りにくいという性質を持っています。また、腐朽菌が活発な熱帯地方の木材は、腐朽菌に対抗するため心材に強力な耐腐朽菌物質を持っていることが多く、例えばチークやピンカドなどの含んでいる独特の油分や、メルバウが含んでいる岩石の成分のシリカ、非常に優れた耐朽性をもつイペに含まれるラパコールもその一種です。
木材を腐らせる菌とは??
こうなると気になってくるのが,どのような菌が木材を分解(腐らせる)するのか、ですよね。
木材を分解する、すなわち腐朽させる菌は、判っているだけでも数百種類、それらを総称して「木材腐朽菌」と呼んでいます。
これらの多くは実は、キノコの仲間で、枯木や生木に寄生して、その養分を吸収し、木材を腐らせて成長していきます。
身近なものでは、シイタケやマイタケなども木材腐朽菌の一種です。
まさか、毎日のように食卓に上がる、あのおいしいキノコが、家を倒壊させてしまう程の威力があると思うと驚きですよね。
その木材腐朽菌は大きく2種類に分けられます。
また聞きなれない言葉が多くなってきますが、木材の主成分はセルロースとヘミセルロース、リグニンの3種類。
このセルロースとヘミセルロースを分解し褐色に変化させるものを「褐色腐朽菌」、
そしてリグニンまで分解し白色に変色させるものを「白色腐朽菌」といいます。
特に木材の細胞をとても強くつなげる接着剤の役割を果たすリグニンは、とても複雑な構造で、簡単に分解できるものではないのです。そんなリグニンをも分解してしまう白色腐朽菌の能力は、実はさまざまな分野で役立っています。
例えば紙・パルプ産業で応用されていて、塩素系の漂白剤を使用しない環境に優しいパルプ製造や、この性質を応用して、毒性のある環境ホルモンやダイオキシンなどの環境汚染物質を無毒化するという応用研究も進んでいるのです。
木を腐らせる菌だからといって、今から家を建てようという方には悪者に感じてしまいますが、別の視点で見ると環境や世の中に役立つ大切な菌の一つになっているんです。
分解する菌(腐朽菌)が活発になる条件を知れば大丈夫!!
とはいえ、家の柱が腐ってしまっては私たちの命を脅かしかねません。
この分解菌(腐朽菌)はどのような条件で活発になるのでしょうか。
それさえわかれば怖いものはありませんね。
温度は、3~45℃、特に30℃前後を好みます。
大気中の湿度が85%以上、木材の中の水分が20%以上必要。
私たち同様、空気がなければ生きられません。
そして木材の主成分であるセルロース、ヘミセルロース、リグニンなどが栄養となります。
この条件で、木材腐朽菌は大活躍するわけですが、言い換えると、これら一つでも欠けると活性化できないのです!
構造などに使う材木は乾燥していることが必須条件となる為、腐るという点では心配する必要はほとんどないのです。
ただし浴室や外にあるエクステリアなど湿気が多い場所や雨の影響を受けるような場所は気を付けるべきです。
湿気の多い場所に耐久性を持たせるためには、天然の防腐成分であるフェノール性成分や油分などを多く含む木材を用いることが一番でしょう。
ただきちんと乾燥した木材を使っているかどうか、湿気の多い場所への耐久性を持たせる知識があるかが、重要となりますので、やはり信頼できる建築業者を選ぶ必要があります。
さいごに・・・
~アトリエプラスは「ヒノキ」を使っています~
いかがでしたか。
家の要となる柱の木の種類選びには、強度や耐久性などいろんな面で気を付けないといけないということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
聞きなれない用語や言葉がいくつか登場しましたが、
私たちアトリエプラスは、あなたや、あなたの大切なご家族が暮らす家だからこそ少しでも詳しく知って頂くことが安全で安心な家づくりにはとても重要と考えています。
今回は家づくりの要となる柱についてでしたので、その気持ちがより強くなったかもしれません。
アトリエプラスでは、「ヒノキ」を使っています。
日本には四季があります。暑い時期、寒い時期、乾燥した時期、湿気の多い時期、
そんな日本で育った木は日本の気候に適した材木だと考えています。
中でも岐阜県の東濃地域で採れたヒノキは、「東濃ヒノキ」としてブランドになっています。
愛知から近い場所に、優れたブランド材の産地があるのですから、それを使わない手はないでしょう。
~木・百年の想い~をテーマに「丈夫で永く住める家」親から子へそして孫へ受け継がれて ゆく住まいを造りつづけることがアトリエプラスの想いです。