「建設業界って離職率が高いって聞くけど、本当?」「転職を考えているけど、すぐに辞めたくなったりしないかな…」
建設業界への転職を検討している方にとって、離職率は非常に気になるポイントですよね。確かに、建設業界は他の業界と比べて離職率がやや高い傾向があります。しかし、その理由を正しく理解し、対策を知っておけば、長く働き続けることは十分に可能です。
この記事では、建設業界の離職率の実態から、離職の原因、そして長く働くためのポイントまで、データと実例をもとにわかりやすく解説していきます。「転職したいけど、不安もある」という方は、ぜひ最後までお読みください。
建設業の離職率の現状
建設業界の離職率は約10〜13%で、全産業平均とほぼ同水準ですが、若年層では20〜30%と高い傾向があります。
「離職率が高い」と言われる建設業界ですが、実際のデータを見ると、意外な事実が見えてきます。ここでは、具体的な数字をもとに実態を確認していきましょう。
令和4年度の建設業離職率は10.5%
厚生労働省の雇用動向調査によると、令和4年度(2022年度)の建設業の離職率は10.5%でした。全産業平均が約15%前後であることを考えると、実は建設業界の離職率は「極端に高い」わけではなく、むしろ平均を下回る水準です。
ただし、これはあくまで業界全体の平均です。会社の規模や職種によって大きく異なります。たとえば、大手ゼネコンでは離職率が5〜8%程度と低い一方、中小企業では15〜20%に達するケースもあります。
「建設業界=離職率が高い」というイメージが先行していますが、実際には「会社選び」が重要だということがわかります。具体的な企業の待遇を知りたい方は、名工建設の年収データや松井建設の年収データも参考にしてみてください。
離職率は改善している一方、入職率はかなり低い
建設業の離職率は近年、改善傾向にあります。以下のように推移しています。
年度別離職率の推移
- 2020年: 12.8%
- 2021年: 11.9%
- 2022年: 10.5%
- 2023年: 10.3%
離職率が改善しているのは喜ばしいことですが、一方で深刻な問題があります。それは「入職率の低さ」です。建設業への新規入職者数は年々減少しており、離職率以上に「人が入ってこない」ことが業界の大きな課題となっています。
この人手不足が続くことで、一人あたりの業務負担が増え、それがさらなる離職を招くという悪循環も懸念されています。
新卒3年以内の離職率と推移
建設業界で特に問題となっているのが、新卒3年以内の高い離職率です。厚生労働省のデータによると、建設業における新卒3年以内の離職率は大卒で約30%前後、高卒で約40%前後となっています。
年齢層別の離職率(2026年最新推計)
- 20〜24歳: 約28%
- 25〜29歳: 約22%
- 30〜34歳: 約14%
- 35〜39歳: 約10%
- 40歳以上: 約6〜8%
20代の離職率が突出して高く、特に入社3年以内に辞める人が多いことがわかります。逆に、30代以降は安定し、40代以上になると離職率は全産業平均を下回ります。
これは、「最初の数年を乗り越えれば、長く働き続けられる」ことを示しています。つまり、入社後のサポート体制や、若手が働きやすい環境があるかどうかが、定着率を左右する重要なポイントなのです。もし現在の職場で限界を感じている方は、施工管理を安全に辞める方法についても知っておくと安心です。
業種別・職種別の離職率の違いを比較する
建設業界と一口に言っても、業種や職種によって離職率は大きく異なります。
業種別の離職率(目安)
- 総合建設業(ゼネコン): 8〜12%
- 専門工事業(設備・電気など): 12〜16%
- 建築設計事務所: 10〜14%
職種別の離職率(目安)
- 現場監督・施工管理: 12〜15%
- 設計職: 10〜13%
- 営業職: 15〜20%
- 技能職(職人): 8〜12%
意外なことに、技能職(職人さん)の離職率は比較的低いです。これは、専門的なスキルを身につけることで、仕事に誇りと安定を感じられるためです。
一方、営業職は離職率が高めです。ノルマのプレッシャーや、顧客対応のストレスが影響していると考えられます。
転職を考える際は、自分がどの職種に就くのか、その職種の離職率はどうかを確認することが大切です。では次に、なぜ離職が起きるのか、その根本的な理由を見ていきましょう。
建設業の離職率が高い6つの理由
建設業界で離職が多い主な理由は、「長時間労働」「肉体的・精神的負担」「雇用の不安定さ」「キャリアの不透明さ」「評価制度への不満」「職場の人間関係」の6つです。
「なぜ辞める人が多いんだろう?」その理由を理解することで、転職後に同じ失敗を避けることができます。ここでは、離職の根本的な原因を探っていきます。
長時間労働・休日の少なさ
建設業界で最も大きな離職理由の一つが、長時間労働と休日の少なさです。
具体的な課題
長時間労働
月40時間以上の残業が常態化している現場もある
休日の少なさ
週休2日制が浸透していない会社もまだ存在する
天候や工期に左右される
工期が迫ると休日出勤が発生しやすい
特に若い世代は、ワークライフバランスを重視する傾向が強く、「プライベートの時間が取れない」ことに不満を感じて離職するケースが多いです。
ただし、2024年4月の法改正により、残業時間の上限規制が建設業にも適用され、2026年現在、状況は確実に改善されつつあります。大手企業を中心に、週休2日制の導入や、労働時間管理の徹底が進んでいます。
肉体的・精神的負担の大きさ
建設業は屋外作業が多く、身体的な負担が大きい仕事です。
具体的な負担
- 夏の猛暑や冬の厳しい寒さの中での作業
- 重量物の運搬や、長時間の立ち仕事
- 安全管理への緊張感によるストレス
- 工期のプレッシャーによる精神的な負担
体力的なきつさに加え、「ミスが事故につながる」という緊張感は精神的にも大きな負担になります。特に施工管理職は、現場と事務作業の両方をこなす必要があり、心身ともに疲弊しやすい職種です。
雇用が不安定
建設業界は景気の波に左右されやすく、雇用の不安定さも離職理由の一つです。
雇用不安定の要因
- プロジェクトベースの仕事が多く、現場が終わると次の仕事が見つかるまで不安
- 中小企業では、受注状況によって給与が変動することがある
- 非正規雇用や日給月給制の働き方が残っている現場もある
特に中小の専門工事業者では、親会社の受注状況に依存するケースが多く、安定した雇用が保証されにくい面があります。大手ゼネコンや安定した受注基盤を持つ企業を選ぶことで、この不安を軽減できます。日本国土開発の年収データやイチケンの年収データなども、企業選びの参考になるでしょう。
キャリアパスや評価制度の不透明さ
「この会社で働き続けて、自分のキャリアはどうなるんだろう?」こうした不安が、離職につながることも多いです。
キャリア形成の課題
成長の実感が得られない
同じ作業の繰り返しで、スキルアップを感じられない
昇進の道筋が不明確
「何年働けば、どんなポジションに就けるのか」が見えない
資格取得のサポート不足
会社が資格取得を支援してくれない
特に中小企業では、教育制度が整っていないケースもあり、「自分で学ぶしかない」状況になることがあります。その結果、「このままでいいのか?」と不安を感じ、転職を考えるようになるのです。
逆に言えば、教育制度が充実している会社を選べば、この問題は回避できます。施工管理のキャリアプラン完全ガイドでは、年代別のステップや面接で使える例文も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
評価制度の問題点
- 年功序列で、若手の頑張りが給与に反映されない
- 評価基準が曖昧で、何をすれば評価されるのかわからない
- 上司の主観で評価が決まり、納得感がない
特に、前職で成果主義の環境にいた人が、建設業界の年功序列的な文化に違和感を覚えるケースは多いです。ただし、最近では「実力主義」を導入する企業も増えています。資格を取得すれば確実に給与が上がる、プロジェクトの成功が賞与に反映される、といった仕組みがある会社を選ぶと良いでしょう。
職場の人間関係に起因する問題
どの業界でも共通する離職理由ですが、建設業界でも人間関係の悩みは大きな要因です。
よくある人間関係の問題
- 上司や先輩とのコミュニケーション不足
- 現場での厳しい指導や、きつい言葉遣い
- チーム内での協力体制の欠如
建設現場は、さまざまな職人さんや関係者が集まる場所です。そのため、コミュニケーション能力が求められますが、うまくいかないとストレスになります。
特に、「昔ながらの体育会系の雰囲気」が残っている現場では、若手が馴染めずに離職するケースもあります。
ただし、最近では「パワハラ防止」の意識が高まり、職場環境の改善に取り組む企業が増えています。面接時に「職場の雰囲気はどうですか?」と質問してみるのも良いでしょう。
このように、離職には複数の理由が絡み合っています。では次に、特に若手が早期離職する具体的な要因を見ていきましょう。
若手社員が早期離職する具体的な要因
若手が早期離職する主な理由は、「仕事の負担の大きさ」「キャリアパスの不透明さ」「評価制度への不満」の3つです。
20代の離職率が高いことは先ほど触れましたが、ここでは「なぜ若手は辞めてしまうのか」をさらに深掘りします。
仕事の過度な負担に悩む
入社して間もない若手にとって、いきなり大きな責任を負わされることは、大きなプレッシャーになります。
若手が感じる負担
- 先輩が忙しく、教えてもらえる時間がない
- わからないことだらけなのに、「見て覚えろ」と言われる
- ミスをすると厳しく叱られ、萎縮してしまう
「もっと丁寧に教えてほしい」「質問しやすい環境がほしい」という声は多いです。特に、未経験から入社した場合、最初の数ヶ月でつまずくと、「自分には向いていない」と感じて辞めてしまうケースがあります。
これを防ぐには、入社時の研修制度や、メンター制度(先輩が1対1でサポートする仕組み)が整っている会社を選ぶことが重要です。
キャリアパスが不透明である
「この会社で働き続けて、5年後、10年後の自分はどうなっているんだろう?」この疑問に答えられない会社は、若手が離れていきます。
キャリアパスの不透明さの例
- 昇進の基準が明確でない
- 「とにかく頑張れ」と言われるだけで、具体的な目標がない
- ロールモデルとなる先輩がいない
若い世代は、「成長している実感」を大切にします。そのため、「何年目でこのポジション、何歳でこの年収」といった明確なキャリアパスを示してくれる会社を好みます。
転職時には、「キャリアパスはどうなっていますか?」と質問し、具体的な答えが返ってくるかを確認しましょう。施工管理で年収1000万円を目指すキャリアステップについても、目標設定の参考になります。
評価制度に不満を感じる
「頑張っているのに、評価されない」「年功序列で、実力が反映されない」こうした不満も、離職の大きな要因です。
評価制度の問題点
- 年功序列で、若手の頑張りが給与に反映されない
- 評価基準が曖昧で、何をすれば評価されるのかわからない
- 上司の主観で評価が決まり、納得感がない
特に、前職で成果主義の環境にいた人が、建設業界の年功序列的な文化に違和感を覚えるケースは多いです。
ただし、最近では「実力主義」を導入する企業も増えています。資格を取得すれば確実に給与が上がる、プロジェクトの成功が賞与に反映される、といった仕組みがある会社を選ぶと良いでしょう。年収アップを具体的に目指したい方は、施工管理が年収を上げるための具体策もあわせてご覧ください。
では次に、こうした問題を解決し、離職率を改善するための具体的な戦略を見ていきましょう。
離職率を劇的に改善する5つの戦略
離職率を下げるには、「業務効率化」「働き方改革」「教育体制の充実」「公正な評価」「職場環境の改善」の5つが鍵です。
ここでは、実際に離職率を下げることに成功している企業の取り組みを紹介します。
デジタル技術で業務効率を最大化する
長時間労働を減らすために、多くの企業がデジタル技術を導入しています。
効果的なデジタルツールの例
施工管理アプリ
現場の記録や報告書作成を自動化し、事務作業を大幅削減
クラウドシステム
どこからでも図面や資料にアクセスでき、移動時間を削減
ドローンやAI
測量や検査を効率化し、人手を減らせる
これらのツールを導入することで、残業時間が月10〜20時間削減されたという事例もあります。若手にとっても、最新のツールを使えることは魅力的で、定着率の向上につながります。
働き方改革を徹底的に推進する
週休2日制の完全実施や、有給休暇の取得促進など、働き方改革を進めることが重要です。
具体的な施策
- ノー残業デーの設定
- 有給休暇の計画的な取得推奨
- フレックスタイム制の導入
「休みがしっかり取れる」「プライベートの時間が確保できる」と感じられる職場は、若手の定着率が高いです。
教育体制を抜本的に見直す
新入社員や若手社員への教育体制を整えることで、早期離職を防げます。
効果的な教育制度の例
入社時研修
基礎知識をしっかり学べる期間を設ける
OJT制度
先輩が1対1で指導するメンター制度
資格取得支援
受験費用や勉強時間を会社が支援

