「建設業界って給料はいいらしいけど、残業が多いって聞くな…」「転職を考えているけど、実際どれくらい残業があるんだろう?」
建設業界への転職を検討している方にとって、残業時間は非常に気になるポイントですよね。確かに、建設業は他の業界と比べて残業時間が長い傾向があります。しかし、2024年4月からの法改正により、業界全体で働き方改革が進んでおり、状況は確実に改善されつつあります。
この記事では、建設業の残業時間の実態から、2024年問題と呼ばれる法改正の内容、そして残業を減らすための具体的な取り組みまで、わかりやすく解説していきます。「建設業界で働きたいけど、プライベートの時間も大切にしたい」という方は、ぜひ最後までお読みください。
データで紐解く建設業の労働実態
建設業の月間平均残業時間は約30〜40時間で、全産業平均と比べてやや長い水準にあります。
「実際、どれくらい残業があるの?」これは転職を考える上で最も知りたい情報の一つですよね。ここでは、具体的なデータをもとに建設業の労働実態を見ていきましょう。
【直近5年間】建設業の残業時間推移を分析
厚生労働省の統計データによると、建設業の残業時間は近年、緩やかに減少傾向にあります。
年度別の推移(月平均)
- 2019年: 約42時間
- 2020年: 約40時間
- 2021年: 約38時間
- 2022年: 約36時間
- 2023年: 約34時間
この5年間で約8時間、つまり20%近く減少しています。これは、働き方改革関連法の施行や、業界全体での意識改革が進んでいることを示しています。
ただし、これはあくまで平均値です。会社の規模や職種、時期によって大きく異なります。たとえば、年度末や繁忙期には月50時間を超えることもありますし、逆に閑散期には残業がほとんどない月もあります。
大手ゼネコンでは労働時間管理が徹底されており、平均的な残業時間は月30時間前後に収まっているケースが多いです。一方、中小企業では会社によってばらつきがあり、まだ改善途上のところもあります。
転職を考える際は、「業界全体の平均」だけでなく、「その会社の実際の労働時間」を確認することが大切です。面接時に「平均的な残業時間はどれくらいですか?」と質問するのは、全く失礼なことではありません。
他産業との残業時間を比較検証
建設業の残業時間を、他の産業と比較してみましょう。
産業別月間平均残業時間(2023年)
- 全産業平均: 約24時間
- 製造業: 約26時間
- 情報通信業: 約28時間
- 運輸業: 約32時間
- 建設業: 約34時間
- 宿泊・飲食業: 約18時間
このデータを見ると、建設業は確かに全産業平均より10時間ほど多いですが、運輸業とほぼ同水準です。「建設業=極端に残業が多い」というイメージほどではないことがわかります。
また、重要なのは「残業代がきちんと支払われるかどうか」です。建設業の多くの会社では、残業代は1分単位で計算され、しっかり支給されます。これは、サービス残業が常態化している業界と比べると、大きなメリットです。
たとえば、月34時間の残業があった場合、時給換算で2,000円とすると、月68,000円、年間で約80万円の残業代になります。基本給に加えて、この分がしっかり支払われるため、結果的に年収が高くなるのです。
ただし、「残業が多い=良いこと」では決してありません。次のセクションでは、なぜ建設業で残業が長くなりがちなのか、その根本的な理由を見ていきましょう。
建設業における残業長期化の根本的要因
建設業の残業が長くなる主な理由は、「人手不足」「厳しい工期」「休日確保による平日の負担増」の3つです。
「なぜ建設業は残業が多いんだろう?」その理由を理解することで、転職後の働き方をイメージしやすくなります。ここでは、残業が長くなりがちな構造的な要因を解説します。
人手不足による労働環境の悪化
建設業界は、深刻な人手不足に悩んでいます。特に、若手の技術者や現場監督が不足しており、一人あたりの業務負担が増えている状況です。
国土交通省のデータによると、建設業就業者の約3割が55歳以上で、29歳以下は約1割しかいません。つまり、ベテランが引退していく一方で、新しい人材が十分に入ってこないという「高齢化」と「若手不足」が同時に進行しているのです。
人が足りないと、一人が複数の現場を掛け持ちしたり、本来は分担すべき業務を一人でこなしたりすることになります。結果として、残業が増えてしまうわけです。
ただし、これは裏を返せば「需要が高い」ということでもあります。未経験でも受け入れてくれる会社が多く、転職のハードルが低いというメリットにもつながっています。
工事工期の厳格さが生む残業構造
建設工事には、必ず「完成期限」があります。マンションの入居日、オフィスビルのオープン日など、お客様との約束は絶対に守らなければなりません。
そのため、天候不良で工事が遅れたり、予期せぬトラブルが発生したりすると、遅れを取り戻すために残業や休日出勤で対応することになります。「明日は雨だから、今日のうちに進めておこう」といった判断が、残業につながるケースも多いです。
また、設計変更や追加工事が発生することもあります。こうした場合、工期は変わらないのに作業量が増えるため、どうしても労働時間が長くなってしまいます。
ただし、最近では余裕を持った工期設定や、天候リスクを考慮したスケジュール管理が推奨されており、無理な工程で進めることは減ってきています。
休日確保による平日労働の集中
働き方改革により、建設業でも「週休2日制」の導入が進んでいます。これ自体は良いことなのですが、一方で「休日が増えた分、平日に仕事を詰め込む」という問題も生じています。
たとえば、以前は土曜日も働いて6日間で完了していた作業を、5日間で終わらせなければならなくなりました。そのため、1日あたりの労働時間が長くなり、結果的に平日の残業が増えるという構造になっています。
これは過渡期特有の問題で、今後は業務の効率化や人員配置の見直しによって改善されていくと期待されています。実際、大手ゼネコンを中心に、ITツールの活用や工程管理の最適化によって、休日を確保しながら残業も減らす取り組みが成功しつつあります。
このように、建設業の残業には構造的な理由がありますが、業界全体で改善に向けた動きが加速しています。では、その改善を後押しする「2024年問題」とは何なのか、次で詳しく見ていきましょう。
2024年問題:残業時間規制の全貌
2024年4月から、建設業にも残業時間の上限規制が適用され、原則として月45時間・年360時間を超える残業ができなくなりました。
「2024年問題って聞いたことあるけど、何が変わったの?」建設業界への転職を考えているなら、この法改正の内容は必ず知っておくべきポイントです。
労働基準法改正のポイントを解説
2019年に働き方改革関連法が施行され、多くの業界で残業時間の上限規制が始まりました。しかし、建設業は「特殊な事情がある」として5年間の猶予期間が設けられていました。その猶予期間が終わり、2024年4月から建設業にも規制が適用されたのです。
主なポイント
- 残業時間の上限は原則「月45時間、年360時間」
- 繁忙期でも「月100時間未満(休日労働含む)」
- 年間の残業時間は「720時間以内」
- 月45時間を超えられるのは「年6回まで」
これまで、建設業では月80時間、100時間といった長時間残業が常態化していた現場もありました。しかし、この法改正により、そうした働き方は法律違反となり、罰則の対象になります。
転職を考えている方にとって、これは朗報です。法律で残業時間が制限されたことで、「入ってみたら毎月100時間残業だった…」というリスクが大幅に減りました。
特別条項付き36協定の正しい理解
「36協定(さぶろくきょうてい)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは、会社が従業員に残業をさせるために必要な労使協定のことです。
通常の36協定では、残業時間は月45時間、年360時間が上限です。しかし、「特別条項付き36協定」を結ぶと、繁忙期など特別な事情がある場合に限り、この上限を超えて残業させることができます。
特別条項の条件
- 月100時間未満(休日労働含む)
- 年720時間以内
- 月45時間を超えられるのは年6回まで
- 複数月平均で80時間以内
たとえば、大型プロジェクトの完成間際など、どうしても残業が増える時期があります。そうした時でも、年間を通じて無理のない範囲に収めるよう、法律で厳しく制限されています。
転職の面接時に、「特別条項付き36協定を結んでいますか?」と聞いてみるのも良いでしょう。結んでいる会社は、繁忙期にはある程度残業が増える可能性がありますが、逆に言えば、法律の範囲内でしっかり管理しているということでもあります。
違反した場合のリスクと罰則
では、この上限規制を守らなかった場合、どうなるのでしょうか。
罰則内容
- 6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金
- 労働基準監督署からの是正勧告
- 企業名の公表(悪質な場合)
罰則の対象となるのは、会社の経営者や人事担当者です。つまり、違反した場合のリスクは会社側が負うため、企業は法律を守らざるを得ない状況になっています。
実際、大手ゼネコンを中心に、労働時間管理システムを導入し、残業時間を厳格にチェックする体制が整いつつあります。「月45時間を超えそうになったら、上司から『今月はもう帰りなさい』と言われる」という声も聞かれます。
これは、働く側にとっては安心材料です。法律が会社を動かし、結果的にあなたの労働環境が守られるわけです。
では、こうした規制を受けて、建設業界ではどのように残業を減らそうとしているのか、次で具体的な取り組みを見ていきましょう。
残業削減への具体的アプローチ
残業削減は、「デジタル化」「工程管理の最適化」「意識改革」の3つを柱に進めることで、実現可能です。
「法律で規制されても、仕事量が減るわけじゃないのに、どうやって残業を減らすの?」そう疑問に思う方もいるでしょう。ここでは、建設業界で実際に行われている残業削減の具体的な方法を紹介します。
残業削減がもたらす経営メリット
まず、会社側にとって残業削減がなぜ重要なのかを理解しておきましょう。
会社側のメリット
- 残業代の削減により人件費が下がる
- 従業員の健康が守られ、離職率が低下する
- 企業イメージが向上し、優秀な人材を採用しやすくなる
- 労働基準監督署からの指導を受けるリスクが減る
つまり、残業削減は「従業員のため」だけでなく、「会社の利益」にもつながるのです。だからこそ、多くの会社が本気で取り組み始めています。
業務改革の実践的戦略
では、具体的にどのような取り組みが行われているのでしょうか。
デジタル技術の戦略的導入
建設業界でも、ITツールの活用が急速に進んでいます。
導入されているツールの例
- 施工管理アプリ: 現場の進捗状況をスマホで記録・共有。報告書作成の手間が大幅に削減されます
- ドローン測量: 広い現場を短時間で正確に測量でき、人手と時間を節約できます
- BIM(建物情報モデル): 3Dモデルで建物を可視化し、設計ミスや手戻りを防ぎます
これらのツールを使うことで、これまで何時間もかかっていた作業が、数十分で終わるようになります。たとえば、手書きで作成していた報告書が、アプリで写真を撮って入力するだけで自動作成されるようになれば、毎日1〜2時間の残業が削減できます。
「ITツールって難しそう…」と思うかもしれませんが、最近のツールはスマホ感覚で使えるものが多く、研修も充実しています。未経験でも、使っているうちにすぐ慣れます。
効率的な工程管理の実現
工程管理を最適化することで、無駄な残業を減らすことができます。
具体的な方法
- 余裕を持った工期設定: ギリギリのスケジュールではなく、トラブルを見越した計画を立てる
- 工程の平準化: 特定の時期に作業が集中しないよう、バランスよく分散させる
- 先行手配: 資材や職人の手配を早めに行い、待ち時間を減らす
たとえば、「雨が降りそうな週は外の作業を避けて、内装工事を優先する」といった柔軟な計画を立てることで、天候による遅れを最小限に抑えられます。
テレワーク・会議改革の推進
現場に出ない日は、事務所でデスクワークをすることもあります。そうした業務は、テレワークに切り替えることで、通勤時間を削減し、効率を上げることができます。
また、無駄な会議を減らすことも重要です。「毎週の定例会議、本当に必要?」「メールやチャットで済む内容を、わざわざ集まって話していないか?」といった見直しを行うだけで、週に数時間の時間が生まれます。
職場文化の意識改革
最も重要なのは、「残業=頑張っている証」という古い考え方を変えることです。
意識改革の例
- 定時退社を推奨する文化づくり
- 「早く帰った人が評価される」仕組みの導入
- 上司が率先して定時で帰る姿を見せる
「周りがまだ働いているから、自分も残らないと…」という雰囲気を変えるには、トップが意識を変えることが不可欠です。実際、大手企業では「ノー残業デー」を設定したり、残業を減らした部署を表彰したりする取り組みが広がっています。
これらの取り組みが進むことで、建設業界全体の働き方が変わりつつあります。次は、さらに具体的な対策について見ていきましょう。
建設業界の働き方改革を成功させるための重点対策
働き方改革を成功させるには、「勤怠管理の徹底」「柔軟な労働体制」「デジタル化」の3つが鍵となります。
ここでは、実際に効果を上げている企業の事例をもとに、具体的な対策を紹介します。
勤怠管理システムの戦略的導入
残業を減らすには、まず「誰が、いつ、どれだけ働いているか」を正確に把握する必要があります。
多くの企業では、ICカードやスマホアプリで出退勤を記録する勤怠管理システムを導入しています。これにより、「タイムカードを押し忘れた」「実際より少なく申告してしまった」といった問題がなくなります。
また、システムが「今月の残業時間が40時間を超えました」とアラートを出してくれるため、上司も部下の労働時間を把握しやすくなります。その結果、「もう帰りなさい」と声をかけることができ、過労を防げます。
転職先を選ぶ際は、「勤怠管理システムを導入していますか?」と聞いてみるのも良いでしょう。導入している会社は、労働時間管理に真剣に取り組んでいる証拠です。
柔軟な労働体制の構築
全員が同じ時間に働く必要はありません。柔軟な働き方を認めることで、効率が上がります。
柔軟な働き方の例
- フレックスタイム制: 始業・終業時刻を自分で決められる
- 変形労働時間制: 繁忙期と閑散期で労働時間を調整する
- シフト制: 交代で現場を担当し、負担を分散する
たとえば、「今週は大型プロジェクトで忙しいから、来週は少し早めに帰ろう」といった調整ができると、心身の負担が軽減されます。
デジタル化による生産性向上
先ほども触れましたが、デジタル化は残業削減の最大の武器です。
効果的なデジタルツールの例
- クラウド型の書類管理: どこからでも図面や書類にアクセスでき、探す時間が減る
- オンライン会議システム: 現場と事務所をつなぎ、移動時間を削減
- AIによる自動見積もり: 見積もり作成の時間が大幅に短縮される
これらのツールを使いこなせるようになれば、あなた自身の市場価値も上がります。「ITに強い現場監督」は、今後ますます需要が高まるでしょう。
まとめ:持続可能な建設業の未来に向けて
ここまで、建設業の残業時間の実態から、2024年問題、残業削減の具体策まで解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめます。
建設業の残業時間の実態
- 月平均30〜40時間で、全産業平均よりやや長い
- しかし、近年は減少傾向にあり、改善が進んでいる
2024年問題による変化
- 2024年4月から残業時間の上限規制が適用
- 月45時間、年360時間が原則の上限
- 違反すると罰則があるため、企業は法令遵守に本気
残業削減の具体策
- デジタル化による業務効率化
- 工程管理の最適化
- 勤怠管理の徹底
- 柔軟な働き方の導入
転職を考えている方へ
建設業界は確かに残業が多めですが、法改正により確実に改善が進んでいます。特に大手ゼネコンや、働き方改革に積極的な企業を選べば、ワークライフバランスを保ちながら、高収入を得ることも十分可能です。
転職先を選ぶ際は、以下の点を確認しましょう。
- 平均残業時間はどれくらいか
- 勤怠管理システムは導入されているか
- 週休2日制は実現できているか
- デジタルツールを活用しているか
建設業界は、やりがいがあり、努力が評価される業界です。残業についての不安を解消した上で、ぜひ一歩を踏み出してみてください。あなたの新しいキャリアを応援しています。
