「湿気」は住宅にとっては悩みの種です。
特に高温多湿になりやすい梅雨のある日本という国では、湿気対策は必要不可欠です。
家は、あなたとあなたの家族を守り、安全に暮らす大切な場所。
その為、湿気から守らなければならない場所はたくさん存在しますが、今回はその中の一つ、「床下換気」に注目していきましょう。
床下は見えない部分だからこそ気を配らなければならない場所です。
昔から床下の換気は必要だとよく耳にしますが、実際には、どうして必要なのか詳しく知らない方が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、床下の換気は本当に必要なのか、床下の空間の種類、注意点などをご紹介していきます。
なぜ床下を換気しなくてはならないのか?
まずは、床下換気は本当に必要なのか、その答えは「イエス」です。
床下の換気はとても重要です。
床下に湿気がこもると建物自体にも影響が出るだけでなく、そこで暮らす私たちや私たちの家族の健康にも影響を及ぼす可能性が高くなるのです。
例えば、木造住宅の場合、湿気によって土台が腐食してしまったり、シロアリの発生を誘発することもあるのです。
そうなると、建物の土台が弱り、地震で家が倒れてしまうことも考えられます。
また湿気によって室内にカビやダニが繁殖する原因にもなります。
カビやダニは喘息や皮膚炎、アレルギー性鼻炎といったさまざまな病気を引き起こしかねません。
その他、室内の建具などが湿気で膨らみ開け閉めがしにくくなることもあります。
このような状態になるのは、全てが床下の換気だけが原因とは言えませんが、高温多湿になりやすい梅雨がある日本では床下換気は必要不可欠と言えますね。
床下に湿気のこもりやすい家の特徴
床下に湿気が溜まると、私たちの健康や建物自体にも危険があるのだということはお分かりいただけたと思います。
こうなると床下に湿気が溜まりやすい土地の特徴も知っておきたいところですね。
・湿気の多い土地である
例えば田んぼや湿地を宅地に転換した土地に家を建てるというのもそうです。
また、窪地や坂の下など周辺よりも低い位置に立っている家
雨水が溜まりやすい土地や、過去に台風や洪水などで浸水したことがあるなど
・風通しが悪い場所
隣の家と隣接していたり、住宅密集地ですと風の通りが悪くなる場合があります。
こういった土地にこれから新築しようと考えている方は、特にしっかりと床下換気の対策を行っておくことが重要となります。
床下に湿気が溜まりやすい原因は様々です。家を建てようと予定している場所が、どんな土壌にあるのかなど、土地の特徴をしっかりとチェックし湿気対策を行いましょう。
因みに、既に建っている家で湿気対策をしたほうがいい状態のチェックとしては・・・
・基礎工事の高さが低く、床下の空間が狭い
・床下の換気口付近にエアコンの室外機など障害物がある
・配管から水漏れなどのトラブルが起こっている
などがあげられます。
このブログを読んでくださっている方は新築を考えられている方が多いと思います。
これから家づくりをされる場合、ご自分の家の施工状況を観察し、このような状況に陥っていないかを注意することも必要かもしれません。
現在、住んでいる住宅の床下換気が気になっている方で、上記のチェック項目に当てはまる方は、一度、リフォームを手がけている工務店にご相談されるのもいいかもしれません。
床下の空間の種類によって換気の仕方が変わります
どのような家や土地が湿気を溜め込みやすいのかお分かりいただけたところで、どのような換気の仕方があるのか気になりますよね。
実は、床下の空間には種類があって、大きく2つに分けられるのです。
それは、断熱区画外か断熱区画内かという違いです。
- 断熱区画外の床下
従来の住宅は、「断熱区画外」であることが多いです。
どういうことかというと、床の裏側に断熱材が貼り付けられている「床下断熱」という方法が使われているからです。
この場合、床下の空間は「外気」、家の外という考え方になるのです。
従来の床下換気口や通気パッキンを利用して、外部の乾燥した空気を床下に入れ、湿気を含んだ床下の空気を外部に排出するので、床下を適切な湿度に保つことができます。
先ほどもお伝えしたように、換気に必要な換気口の前にエアコンの室外機など障害物が置かれてしまうと換気ができず湿気が溜まってしまうことになりかねませんので注意が必要です。
- 断熱区画内の床下
「断熱区画内」となる住宅は「基礎断熱」になっています。
この「基礎断熱」とは、床下空間も室内空間のひとつと考え、基礎のコンクリート自体を断熱材で覆う施工方法です。 北海道の住宅で試行・検証され昭和50年代に寒冷地の汎用技術として確立した技術で、比較的新しい施工方法です。
この「基礎断熱」の場合、床下の空気は、「室内空気」となりますので、外気を入れたり室内の空気を出したりすると、室内が寒くなったり暑くなったりしてしまいます。
ですので、床下に換気扇を設置して空気を循環させる方法が一般的となります。
床下換気の注意点とは?
床下換気で注意しなければならないことがあります。
それは全館空調などで「床下暖房」を取り入れた場合です。
床下暖房の場合、多くは床下が、「断熱区画内」となります。
また全館空調は、床下換気もかねている場合が多いのです。
以前、アトリエプラスのブログで「全館空調はスイッチを切らないで、つけっぱなしが良い」とご紹介しましたが、床下の湿気のことを考えると、電気代などのコストを考えてスイッチを入れたり切ったりしないで、やはりスイッチはつけっぱなしにしておくことが重要となります。
換気口がない基礎断熱の場合は、夏場などは特にスイッチがオフになっていないか注意しましょう。
床下換気口、床下換気扇以外の湿気対策法とは?
「床下断熱」の場合は「床下換気口」、「基礎断熱」の場合は「床下換気扇」で換気を行なっているとお話ししてきましたが、その他にも湿気対策の方法には、どのようなものがあるのでしょうか。
・防湿シート
土壌から上がる湿気を防ぐもので、高い効果が期待できます。大体40年程度使用できます。
従来の建物で布基礎の場合に利用します。
・乾燥砂
湿気を吸ったり吐いたりし、調湿する役割があります。半永久的な効果が期待できます。
こちらも布基礎での利用が多いでしょう。
・床下調湿剤
乾燥砂と同じように調湿効果があります。 基本的には、そこまで湿度が高くない場所に向いているようです。ただし、種類によっては効果が持続するわけではないため、永久的な効果を求める場合には他の湿気対策方法を取ることをおすすめします。 また、費用は少々高くなりますが、マットタイプの床下調湿剤もあります。水回りなど湿度が高い部分だけ局所的にも使うことができ、調湿機能や消臭効果がある上、半永久的な効果を期待できます。
以上のような方法がありますが、日当たりや湿気の多さなど、それぞれの床下環境によって傷みは様々ですので10年に一回の目安で定期的に状態確認が必要になります。
床下換気のリフォームをお考えの方は、これらの方法を考えられるのもコスト的にお勧めですが、注意する点は、きちんと調査・施工をしてくれる会社を選ぶこと。
そのためには、見積もりのためだけでなく複数の会社に相談することを忘れないでください。
また、新築一戸建てで「断熱区画外」の「床下断熱」で「床下に換気口」がある場合、地面に防湿シートを敷き詰め、その上に乾燥砂を敷いてあることがほとんどです。
新築の場合も定期的なメンテナンスの際に床下環境も確認項目に入れておきましょう。
さいごに・・・
床下換気について色々な観点からご紹介してきました。
一言で床下換気といっても様々な方法がありますし、新築時の換気方法とリフォーム時の対策とはまた違ってきます。
ただ、湿気が建物の強度が危うくさせたり、私たちの健康に密接に関わっているということはよくお分かりいただけたのではないでしょうか。
アトリエプラスは、全館空調を採用しなかった場合は「床下断熱」、採用した場合は「基礎断熱」になります。
床下換気の仕方も、それぞれに合わせて施工いたします。
また私たちは、リフォーム、リノベーションにも携わっております。
家を建てる、リフォームをするだけでなく、その先もずっと安心して過ごしていただくために、私たちアトリエプラスはいつでもご相談をお待ちしております。