「換気」というと新型コロナウイルスの感染拡大で、これからの時代、大切なことの一つになっていますね。
もちろん、それだけの為の換気では、ありません。
綺麗な空気環境で健康に暮らしていく為にはとても重要です。
今回は知っているようで知らない「24時間換気システム」について、詳しくご紹介していきましょう。
24時間換気システムとは?
まずは24時間換気システムとはどのような換気システムなのかお話ししていきましょう。
一言で言うと「窓を開けなくても外の新鮮な空気を室内に入れ、室内の空気を外に排出する仕組みのこと」です。
24時間換気システムは、「常時換気」と呼ばれ、その名の通り24時間365日つけたままの状態でゆっくりと家全体の空気を入れ替えて循環させていく換気システムで、キッチンなどの「局所換気」の換気扇とは全く違った目的で使用されています。
24時間換気システムの義務化、なぜ?
さて、この「24時間換気システム」が法律で義務化されているというのはご存知でしたか?
以前までは24時間換気システムの設置義務はありませんでした。
「隙間風」という言葉はご存知ですよね。
人間関係がうまく行かないときに使うそれではありません(笑)
昔の日本家屋では隙間風が当たり前で、とても気密性が低かったのです。
そのため、外気の温度が直接、室内に影響をしていたのですが、隙間風のおかげで、1時間に1〜2回程、自然に換気がなされていたんです。
ですので、キッチンやトイレ、浴室などの「局所換気」のみで問題なかったのです。
それが、2003年の建築基準法改正によってすべての住宅に24時間換気システムを導入することが義務化されました。
先ほどもお話ししましたが、従来の建築は、障子やふすまを用いた通気性の良い住まいづくりが基本でしたが、現在の住宅づくりでは新しい建材が普及され、それに伴い高気密・高断熱化が進んだことで、建材・部材に含まれるホルムアルデヒドなどの化学物質や二酸化炭素、湿気が室内にとどまりやすくなったのです。化学物質は、めまいや頭痛などを発症するシックハウス症候群などの原因ともなり、住んでいる人の体調を悪化させてしまう危険性があります。
高気密・高断熱の住宅でも健康的に過ごせるよう考慮した結果、常に換気できるように対策が必要と判断され、24時間換気システムの設置が義務化されることになったのです。
常時換気(24時間換気システム)と局所換気の違いは?
24時間換気システムの説明で出てきました常時換気(24時間換気システム)と局所換気という言葉が登場しました。
局所換気、いわゆるキッチンや浴室にある換気扇で、十分換気できるのではないかと思われた方もいるかもしれません。しかし同じ換気でもそれぞれ目的が違うのです。
・常時換気(24時間換気システム)
室内のホルムアルデヒドなどの化学物質や二酸化炭素などを排気して新鮮な外気を取り入れることが目的の「常時換気」=「24時間換気システム」
1時間あたり家全体の空気の半分以上の量を排気し、同じ量の空気を外気から取り込まなくてはならないという決まりがあります。
これは、化学物質を排気するためだけが目的ではないのです。
中には「自然素材しか使っていないから24時間換気システムは必要ない!」という工務店もあるようですが、実は、色々な目的があって設置されているのです。
その中の一つに、「二酸化炭素」があります。
人は呼吸をし二酸化炭素を排出しますね。換気がされない気密性の高い建物の中で呼吸をすれば、もちろん二酸化炭素が溜まってしまいます。
必要な酸素を補う為にも、一定量の換気は必要です。
また「湿気対策」も大切です。
浴室やキッチン、また私たち人間からも大量な湿気が出ているのです。
特に、室内と室外の温度差で大量の結露が発生してしまう冬には、部屋中に湿気が広がり結露が発生し、木を腐らせたりカビが発生したりしてしまいます。
その為にもしっかりと「常時換気」をする必要があるのです。
その他、生活臭などの臭いの滞留を抑制したり、室内の目に見えないハウスダストの排出など「常時換気」=「24時間換気システム」の目的は多岐にわたります。
・局部換気
お風呂に入ったり、料理をしたときに一時的に大量に発生する湿気や匂いを速やかに外へ排出するための換気です。
この一時的に大量に発生する湿気や臭いは常時換気のみでは追いつかず、局所換気で一気に排出することが重要で、木を腐らせたりカビの発生を防ぐことができます。
24時間換気システムには3種類あるのです
さて、「常時換気」(24時間換気システム)と「局所換気」の違いをお話ししてきました。
局所換気だけでなく、24時間換気システムがとても重要なのだとお分かりいただけたでしょう。
この24時間換気システムにも実は種類があるのです。
「第一種換気方式」「第二種換気方式」「第三種換気方式」の3種類です。
続いては、この3種類についてお話ししていきましょう。
・第一種換気方式
第一種換気方式は、空気の排出、取り入れを両方とも換気扇で強制的に行う方式です。
通常各部屋にダクトを配し、どの部屋をどれだけ換気するのかをダクト計画で確保します。ダクトレスタイプも存在します。
・第二種換気方式
第二種換気方式は、屋外から取り込む空気のみを換気扇で行います。
屋内の汚れた空気の排出は、取り込んだ時の押し出す力によって、各部屋に取り付けてある換気口から自然に排出します。
・第三種換気方式
第三種換気方式は、第二種換気方式とは反対で、屋内の汚れた空気を換気扇で強制的に排出する方法です。外の空気を取り入れる給気口には換気扇はついておらず、各部屋に取り付けられた換気口から自然の力で空気を取り入れます。
それぞれのメリット、デメリットは?
3種類の換気方式の違いはお分かりいただけましたね。
もちろんタイトルの通りそれぞれにメリット・デメリットがあります。
まずは「第一種換気方式」
メリットは、3つの換気方式の中で一番安定して正確に換気ができるところです。吸気、排気ともに機械を利用しますので、外部の風や内部圧力の影響を受けづらいのです。
また、第一種換気方式だけ、「熱交換システム」にアップグレードすることができるのもメリットの一つです。
この「熱交換システム」とは、夏は暑い空気が入ってきて、冬は冷たい空気が入ってくると言う弊害を解消するシステムです。
夏は冷えた室内の空気を利用して取り込む外の空気を冷やし、冬は暖かい室内の空気を利用して、外の冷たい空気を温めてから室内に取り込むというシステムです。
全熱交換システムという湿度も交換できるタイプもあります。
この吸排気が釣り合っているシステムのおかげで圧力がかからないので、気密性の高い住宅でもドアが開けづらくなることがありません。
とても快適な第一種換気方式ですが、デメリットもあります。
一言で言うと、コストが高くなります。
ダクトを伴う大掛かりな換気システムのため、初期コストが大幅に高くなることです。
ダクトレスタイプでも大型のものが多いため、ほかの換気方式よりも初期コストが高くなる傾向にあります。
続いて「第二種換気方式」のメリット
換気扇を使って空気を入れているので入ってくる力が強く、室内の空気を出す換気口には換気扇がついていないため、出ていく力が弱いので室内の気圧が高くなり、ドアや窓を開けても外からの菌や汚染物質が入りにくいという衛生的なメリットがあります。
気圧が高いが故、室内で発生した湿気が壁の中に侵入しやすいのがデメリットとなります。
そのため、研究所などのクリーンルームや病院の手術室など特殊な場合に使用されることが多く、一般の住宅で使用されることは滅多にありません。
そして「第三種換気方式」の最大のメリットは、低コストで施工が簡単なこと。
ですので日本では、この第三種換気方式は多く採用されています。
また室内の空気を排出する力が強いので、他の換気方式に比べ、多少室内で発生した湿気が壁の中に入りにくくなります。
デメリットは、外気がそのまま室内に入ってくるので、給気口の近くにいると、冬は寒く夏は暑いと感じやすいこと。特に気密性の低いお家だと隙間風が入ってきてしまうので顕著です。
ただ、空気の流れがそれほど強くないので、気にならない方も多いです。
やっぱり24時間つけっぱなしじゃないとダメ?止めるとどうなる??
さて24時間換気システムについて詳しくご紹介してきましたが、どの換気方式にしても24時間どこかの換気扇が動いているわけですから気になるのは電気代などのコストですよね。
では24時間、ずっとつけっぱなしにしなければならないのでしょうか。
答えは「イエス」
柱や梁などの木材や鉄骨財の腐食や錆の防止など建物の耐久性の維持にも役立ちます。
夜間などは特に締め切っていることが多いので24時間換気システムはとても有効です。
また新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される今、家庭内でも換気は必須。24時間稼働させておくことに意味があります。
梅雨の時期や花粉の時期も空気が滞留してしまう恐れがあるので、やはりつけっぱなしが賢明です。
フィルターなどである程度防ぐことができますが、花粉がどうしても気になる方は空気清浄機を併用することもお勧めします。
そして気になる電気代ですが、住宅設備の省エネ化は日毎に向上しています。
現在の新築住宅に使用されている24時間換気システムは省エネで経済性もとても高いものばかりです。ご安心ください。
さいごに・・・
24時間換気システムについて詳しくご紹介してきました。
私たちの健康を守るため、そして私たちの住まいを守る為にも必要な換気システムということがお分かりいただけたと思います。
どの換気方式にするのかは、あなたやご家族の生活スタイルで決めていただくことが一番です。
窓を開けることが多いのか、それとも防犯のためにも締め切っておくことが多いのかでも変わってきます。
また、選ぶ空調によっても変わってきます。
例えば、家の中を均一の温度に保つ「全館空調」を選ぶ場合は、第一種換気方式とセットで設置される場合が多いのです。
迷った場合は、家づくりをお願いする工務店かハウスメーカーに納得するまで相談してみましょう。
アトリエプラスでは、基本的には第一種換気方式を採用しています。
気圧調整式の、全熱交換型の、第一種換気です。全館空調として機能し、花粉やハウスダストに強いのでおススメです。
家を建てるだけでなく、その先もずっと安心して過ごしていただくために、
私たちアトリエプラスはいつでもお待ちしております。