2016年、まだ記憶に新しい「熊本地震」では、前震の震度7で倒壊する家屋はさほど多くなかったものの、その次に来た震度7の本震で倒壊する家屋に注目が集まりました。
そのキーワードになったのが「共振」です。
今回は次世代の防災を考える上で、大切になってくる「共振」の影響力と、それを踏まえた上での耐震住宅の大切さをご紹介します。
地震の揺れを増幅する「共振」が倒壊の原因に
テレビなどで「声だけでワイングラスを割る」といったパフォーマンスを見たことはないでしょうか。あれは声によって起こる空気の揺れと、その影響で揺れるワイングラスの振動数がシンクロすることで、起こる「共振」を利用したもの。
また、タイミングを合わせて背中を押すと、どんどん揺れが大きくなるブランコも、身近な共振現象です。
地震の時は、建物にもその現象が起こり得るということ。地盤の揺れと、建物の揺れの周期(リズム)が揃ってしまうと、揺れが増幅され、倒壊の危険性が高まるのです。
建物の「揺れの周期」はそれぞれ違う
地震による「建物の揺れ方」というのは、同じ強さの地震でも、建物によって違いが出ます。なぜなら、建物に限らず、物には「固有周期」というものが存在するから。
「固有周期」とは、その物体が1回揺れるのにかかる時間の長さで表します。「高さ」「重さ」「固さ(耐震性)」によって変わるので、例え同じエリアで起きた地震でも、全ての建物が同じようにリンクすることはありません。
「共振」が起こるのは、そんな建物それぞれで違う「固有周期」と、地震の周期が一致した時。例え小さな地震でも、建物が共振することで揺れが激しくなり、被害が大きくなる場合もあります。
東日本大震災のとき、首都圏の超高層ビルがゆっくりと波打つように大きく揺れる映像を見ませんでしたか? 一般的に、建物が高ければ高いほど、固有周期は長くなり、低い建物になれば短くなります。地震の揺れは周期が短いことが多いため、背の低い戸建て住宅は、地震に共振しやすいということになります。
「耐震住宅」で大切なのは、繰り返す地震に耐えること
地震は揺れの周期が短い傾向にありますが、特に、周期が1〜2秒と短い場合、木造住宅に大きな被害が出やすいとして、「キラーパルス」と呼ばれており、阪神・淡路大震災や、熊本地震でも起きたといわれています。
特に熊本地震では、震度7の前震には耐えたものの、次に来た、震度7の本震で倒壊してしまう家屋が続出しました。なぜなら、前震でダメージを受けた住宅は、柱や梁(はり)のつなぎ目が緩み、グラグラと大きくゆっくり揺れる周期にもリンクしやすくなったから。
地震は最初の数秒間、短く強く揺れ、その後、周期の長い揺れが来ることが多いため、前震でダメージを追った住宅は、本震で短い揺れに共振した上に、後半の長い揺れにまでリンクしてしまったことが、倒壊の原因になりました。
ですから、激しい地震を受けても、揺れを吸収し、耐震性能を持続させることが「耐震住宅」には重要なのです。
避難の時間を稼ぎ、家財を守る家
私たちは、「耐震」+「制震」をおすすめしている住宅会社だからこそ、お伝えしなければいけないと思っていることがあります。
それは、「地震という災害に対して、人がつくる物に“絶対”はありえない」ということ。
家族の命を守るために最も大切なことは、避難訓練をしたり、防災の意識を高めたりすることにあります。では、その上で、なぜ「耐震住宅」が必要なのか。
1つ目の意義は、家族が安全に避難をする「時間を稼ぐ」こと。そして、もう1つ大切な意義が「家財を守る」ことです。非難をして、無事に助かった後、家が倒壊して、家財が全て潰れてしまっては、再スタートはとても困難なものになるでしょう。
再スタートを切る時に、少しでも負担を軽くするために、家というものは、強く、生活空間をまもるものでなければならないと、私たちは考えます。
大切な家族との温かい暮らしを守ることができる家を検討されている方は、ぜひ、アトリエプラスへお気軽にご相談ください。