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今後選ぶならどっち? 変動金利と固定金利のメリット・デメリット

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先日、マイホームの予算の考え方や、ファイナンシャルプランナーの活用法をご紹介しました。

今回のテーマは、マイホームのローン計画を立てる上で悩みがちな「金利」について。

入門編から、知っておきたい借り換えのコツまでを大解剖! マイホームを考えている人のタイプ別に、向いている金利も紹介します。

住宅ローン初心者の人も、大体分かるけど念の為確認したい人も、ぜひ参考にしてみてくださいね。

「住宅ローン」の金利、ざっくり最近の傾向は?

マイホームという人生の中でも最大級に大きな買い物をするとき、多くの人は「住宅ローン」を利用するでしょう。ローンを組むと元金に対して発生するのが「利息」、その割合を示すのが「金利」。金利の割合が小さいほど、利息は少なくなります。

そもそも「住宅ローン」とは、銀行などの金融機関が「金融市場」から調達したお金を利用者に貸し出すもの。金融機関は、利息を支払って貸し出す資金を調達し、住宅ローンの利用者から利息を支払ってもらって、そのコストを補います。そのため、住宅ローンの利息は、基本的に景気が良ければ上がり、不景気だと下がる、金融市場の「調達金利」の影響を受けて同じように上下するのです。

さらに、住宅ローンにかかる金利に大きく影響を及ぼすのが、日本銀行の金融政策。2021年10月現在、長期金利は0%程度で推移する誘導が続いているため、しばらくは住宅ローンに関しても低金利が続くとみられています。

今後、金利が引き上げられる可能性があっても、これ以上下がる可能性はあまり考えられないので、「住宅ローンを組むなら今のうちが良い」といわれています。

「変動金利」と「固定金利」の違い

では、いざ住宅ローンを組もうと考えた時、迷いがちなのが、金利の種類。金利には大きく分けて、景気や日本銀行の政策により上下する「変動金利」と、借り入れた時の金利で固定される「固定金利」の2つがあり、自分たちで選ばなくてはなりません。

そして、そのどちらが自分たちに合っているかは、それぞれの条件によって異なります。後で後悔しないためにも、まずは、変動と固定、それぞれの金利のメリット・デメリットを正しく把握しましょう。

「変動金利」の特徴と向いている人

市場金利の動向などに合わせて、金融機関が金利を変動させるのが「変動金利」です。金利が見直されるタイミングは、金融機関にもよりますが、6カ月に1度、年に2回が一般的。そのため、仮に市場の金利が上昇しても、すぐに支払額が増えたり、数ヶ月に渡って増額し続けることはありません。

また、返済額が急激に上がることのないよう、5年ごとに返済額を変更する「5年ルール」や、返済額の上昇は、上限を125%までとする「125%ルール」を導入している金融機関もあります。

◆「変動金利」のメリット
「固定金利」より、金利が低く設定されていることが多い
市場の金利が下がれば、返済総額も減額になる

◆「変動金利」のデメリット
市場の金利が上がれば、返済総額も増額になる
金利の動向次第で返済総額が変わるので、計画が立てにくい

◆「変動金利」に向いているのは?
収入が景気の影響を受けて上下しやすい人
返済期間を短期間で考えている人
借り入れ金額が収入に対して小さい人
手持ちの資金があるため、金利が上昇したら繰上げ返済でリスク回避できる人
長く住む予定ではなく、近い将来、家を売却する可能性が高い人

「固定金利」の特徴と向いている人

借り入れた契約時の金利で固定され、完済するまで変わらないのが「固定金利」。世の中の景気によって金利が上下しても、住宅ローンにかかる金利が見直されることがないのが特徴です。

◆「固定金利」のメリット
月々の返済額が完済時まで見通せるため、返済計画が建てやすい
金利が低い時に契約すれば、その後、市場の金利が上昇しても、低いままの金利が適用される

◆「固定金利」のデメリット
金利が高い時に契約すると、その後、市場の金利が低下しても、高いままの金利が適用される
「変動金利」より、金利が高く設定されていることが多い

◆「固定金利」に向いているのは?
収入が景気の影響を受けにくい人
返済期間が長期に及ぶ人
金利の動向に振り回されたくない人
計画的に返済したい人
購入した家に一生涯住む予定の人

知っておきたい「変動金利」の「5年ルール」と「125%ルール」

「変動金利」の仕組みを知る上で、知っておきたいのが「5年ルール」と「125%ルール」。これは、住宅ローンの返し方によって適用される場合があり、月々の支払額や支払い総額にも差が出てくるので、注意が必要です。

返済方法は「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類で、「固定金利」にした場合も同じように、どちらかを選ぶ必要があるので、その違いをチェックしておきましょう。

返済額が一定になる「元利均等返済」

「元」=元金(借り入れた金額)、「利」=利息のこと。その名前の通り、元金と利息を均等にした金額を毎月返済していく方法です。そのため、月々の返済額が同じ金額になるのがメリット。「5年ルール」と「125%ルール」は、こちらを選んだ場合に適用されます。

一方で、利息は元金の残額から金利によって算出されるため、元金の返済ペースが遅い「元利均等返済」は、返済総額が「元金均等返済」よりも多くなるデメリットがあります。

元金返済ペースが早い「元金均等返済」

元金のみを返済期間で均等に割り、元金の残高により算出された利息を上乗せして月々の返済額が決まるのが「元金均等返済」です。

「元利均等返済」に比べ、元金の返済ペースが早く、利息の総額が「元利均等返済」よりも少なくなるのがメリットですが、住宅ローンを始めたばかりで元金が多い時期は利息が高くなるため、月々の返済額も多くなるのが特徴です。

「変動金利」でも返済額を安定させる方法は?

「変動金利」で「元金均等返済」を選ぶと、金利が見直される6カ月ごとに、その都度、月々の返済額が変わります。

一方で、「変動金利」でも「元利均等返済」を選べば、5年ごとに返済額を変更する「5年ルール」、返済額の上昇を125%までとする「125%ルール」が適用されている場合、ある程度、月々の返済額を安定させることができます。

5年ルールだけでは、金利の上昇により、次の5年間の返済額が急増する可能性も。そこで125%ルールが適用されると、前の5年間の返済額から125%以上増えることはありません。

ただし、このルールは借り入れ総額を減らすものではなく、あくまでも返済額が大幅に増えるのを防ぐもの。契約した年数で、利息を含め、全てを返済する必要があります。また、ルールを適用しない金融機関もあるので注意してくださいね。

期間限定で金利を固定する「固定期間選択型」もあり

3年、5年、10年など、期間限定で金利を固定することができる「固定期間選択型」という金利もあります。期間が過ぎたら、その時点の金利で、どのタイプにするか、選びなおします。固定期間が短いほど金利は低く、期間中は変動金利と同じくらい、低い金利が設定されていることが多いです。

◆「固定期間選択型」に向いているのは?
「固定期間選択型」は低金利の時に選ばれやすいため、固定期間が終わると、金利が上がる場合が多いので、固定期間が終わった後の自分をイメージできる人なら、選択肢の一つとして考えるのも良いでしょう。

例えば、10年後には定年を迎えたり、子どもが社会に出るなどして教育費もかからなくなったりする予定が見えている場合。10年固定を選択し、固定期間が終わったタイミングで繰り上げ返済をするなどして早めの完済を目指すというケースが考えられます。

「ミックスローン」でリスクを分散するケースも

「変動金利」「固定金利」の両方を組み合わせて、変動金利の上昇リスクを抑えつつ、割安感も感じられる「ミックスローン」という選択肢も。元金の全額を固定金利にするよりも、低金利の変動金利を混ぜることで、返済総額が少なくなる可能性が高くなるというメリットがあります。

また、実質2本のローンを契約することになる「ミックスローン」でも、元金の総額で判断されるため、住宅ローン控除を受けることができます。

返済期間もそれぞれに設定することができる場合が多く、片方の金利のローンを先に完済することも可能。例えば、10年目以降に子どもの進学などで大きな出費が想定される場合、変動金利は10年、固定金利は30年の契約にすれば、10年以降の返済負担が軽くすることができます。ただし、返済期間のミックスに対応していない金融機関もあるので注意してください。

「ミックス金利」の注意点は?

変動金利がお得な銀行、固定金利が比較的低い銀行など、それぞれの特徴があるため、「2つの金融機関を組み合わせたい!」と思う人もいるかもしれませんが、一つの不動産に対して、複数の金融機関がそれぞれの抵当権を設定することができないので、それはできません。仮に変動金利が低い銀行に決めるなら、変動金利を組む割合を多くするなどの調整をすると良いでしょう。

また、景気の動向により、変動金利、固定金利のどちらのローンを先に繰り上げ返済するのか、その判断が難しくなるのも「ミックスローン」の特徴。自分たちのライフイベントに合わせて、繰り上げ返済の時期を決めるなど、事前に計画を立てておくことも大切です。

◆「ミックスローン」のメリット

「ミドルリスク・ミドルリターン」で、ある程度のお得感と安心感を得られる
特定の時期に片方のローンを完済することも可能
固定金利のみにするよりも、返済総額が減る場合がある
住宅ローン控除も受けられる

◆「ミックスローン」のデメリット
変動・固定のどちらか1本にした場合のそれぞれのメリットが少なくなる
契約2本分の書類や手続きが必要
諸経費が2本分になる場合もある
繰り上げ返済の判断が難しい

◆「ミックスローン」に向いているのは?
共働き世帯で、もともと夫婦それぞれの名義でローンを組む予定の人
繰り上げ返済を前提に考えている人
常に金利の動向に関心を持ち、柔軟に対応できる人

耳馴染みのある「フラット35」は固定金利

住宅ローンといえば「フラット35」という言葉を聞いたことがある人も多いと思います。これは「住宅金融支援機構」が扱う固定金利ローンのこと。

審査基準に勤続年数や最低年収の縛りがないので、民間の金融機関に比べて審査が通りやすく、転職したての人、派遣社員歴の長い人、また自営業の人でも比較的借りやすいのが特徴です。

◆固定金利の中でも「フラット35」に向いているのは?

転職したばかりで勤続年数が少ない人

自営業で税金対策などにより納税額を絞っている人

年齢が若く「団体信用生命保険」に加入しないで、固定金利を引き下げたい人

「団体信用生命保険」の加入が難しい人

金利を引き下げられる、長期優良住宅などを検討している人

「地方連携型」に対応している地域に建設を予定している人

中古住宅の購入を検討している人

「フラット35」は、建てる住宅の条件や、地域によっても金利を引き下げられる制度があり、「メリットが多い固定金利の住宅ローン」という印象。頭金なしでもローンは組めますが、どうしても金利により借り入れ総額が高くなるため、費用の1割程度の頭金は用意するのが良いでしょう。

続いて、「フラット35」で金利を引き下げる方法や制度を詳しく説明します。

民間では必須の「団信」も加入・未加入が選べる

また、民間の住宅ローンでは契約者に万が一のことがあった場合に返済残高を肩代わりしてくれる「団体信用生命保険」、通称「団信」への加入が必須ですが、「フラット35」は加入しなくてもOK。逆に「団信」へ加入しなければ、金利をその分低くすることもできます。

年齢が若く、体力に自信のある人なら、民間の掛け捨て生命保険に加入し、住宅ローンの金利を下げるのも良いでしょう。また、健康状態により、団信の加入がむずかしく、民間の住宅ローンが組めない人でも、「フラット35」なら契約を検討することができます。

質の高い住宅で「フラット35S」を目指そう

「省エネルギー性」「バリアフリー性」「耐震性」「耐久性」など、「住宅金融支援機構」が定める住宅基準を満たした、質の高い住宅を購入する場合に選べるのが「フラット35S」。当初5年、もしくは10年間の金利を0.25%引き下げることができます。

子育て世帯や地方移住なら「フラット35地域連携型」も

「住宅金融支援機構」が、子育て世帯や地方移住者に対して積極的に取り組みを行う地方公共団体と連携するのが「地域連携型」。当初5年間の金利を0.25%引き下げる制度です。

中古住宅のリフォームは「フラット35リノベ」をチェック

中古住宅を購入し、「フラット35S」同様、「省エネルギー性」「バリアフリー性」「耐震性」「耐久性」などの性能向上のリフォームをする、または、リフォームがすでに行われた中古住宅を購入する場合に適用されるのが「フラット35リノベ」。こちらは、当初5年、もしくは10年間の金利を0.5%も下げることが可能です。

状況を見て借り換えもアリ! 注意点は?

さて、現時点でベストな条件の住宅ローンを契約をしたとして、今後、世の中の状況が一変した場合や、現時点の金利よりも格段に低い金利のものを見つけた場合は、みすみす借り入れ総額が膨れ上がるのを見ている手はありません。そういう場合は賢く判断して、借り換えを検討しましょう。

借り換えには入念なシミュレーションが必須!

とはいえ単純に、自分が契約しているものよりも条件の良さそうな住宅ローンを見つけたからといって、その全てのケースで借り換えがベストとは限りません。

例えば「変動金利」を選択したけれど、金利の上昇し始めたため、「固定金利」への借り換えを検討した場合。その時点で、すでに「変動金利」より金利の高い「固定金利」は、かなり上昇している場合があります。

また、金利の動向はお金のプロですら、予想するのは難しいこと。焦って「固定金利」に借り換えた途端に金利が下がり始める可能性も0%ではありません。

そして、借り換えには、繰り上げ返済の手数料、借り換える住宅ローンの申し込み手数料なども発生します。もちろん、借り換えのローンも、新規同様に審査があるので、転職や収入減の予定が分かっている人は、それを見越した計画を立てるようにしてみてください。

世の中の景気だけではなく、自分のライフステージや必要経費を考慮した上で、借り換えのメリットがあるのかどうか、それをきちんと考慮したシミュレーションをすることが大切です。


しばらく低金利が続くと予想される現在では、比較的、金利が高い固定金利を選ぶのもハードルが低くなっている印象。

とはいえ、それぞれのメリット・デメリットを知って、自分のタイプに合わせた金利を選ぶことが、後悔しないマイホームづくりには必要不可欠です。

自分たちだけでは判断が正しいのか不安に感じる人は、プロのアドバイスを参考にするのも一つの手段。アトリエプラスでは、「せっかく家を建てたことを後悔して欲しくない」という思いから、信頼できるファイナンシャルプランナーへの相談を無料で提供しています。

安心して住宅計画に取り組めるよう、その土台である家計設計から一緒につくり上げていきませんか? ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

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