私たちの生活や命を守ってくれるマイホーム。
そのマイホームを作る上で大切なことはたくさんあります。
「断熱」もその一つ。
断熱というと、壁の中や床下など中々見ることができない場所に施工されているというのが一番の不安材料ですよね。
不安が少しでも無くなるように解説するのも私たちの役目だと考えています。
以前、「断熱材の種類」についてご紹介しましたが、これは断熱材の熱伝導率が良いのかどうかという観点でのお話しでした。
今回は、使う断熱材や施工の仕方などによって出来てしまいかねない「断熱欠損」について解説してきます。
断熱欠損とはどのようなものなのか、また断熱欠損を作らない断熱材にはどのようなものがあるのか詳しく見ていきましょう。
断熱欠損とは?
まず、この「断熱欠損」とは一体、どうして起こるものなのでしょうか。
工事現場というのはあまり見る機会が少ないと思いますので想像がしにくいかもしれませんが、壁の中には意外と様々なモノが入っているのです。
例えばコンセント、スイッチ、それをつなぐ電線や配管類、木造住宅であれば筋交(柱と柱の間に斜めに入れる補強材のこと)などもありますね。ここに袋に入ったグラスウールなどの断熱材を押し込んでも、隙間なくぴったりくっつくわけではありません。どうしても隙間ができてしまいます。
この隙間を「断熱欠損」と呼ぶのです。
断熱欠損があるとどのような問題が起きるのか
では、断熱欠損があるとどのような問題に直面するのでしょうか。
大きく二つの問題が発生します。
- 内部結露
一番重要な問題は「内部結露」です。
例えば窓ガラスが結露すればひと目でわかる上、拭いたりと対処することもできます。
これは「外部結露」と言います。
しかし、これが壁の中や天井裏で起こってしまったら私たちには知る良しもありません。
先ほどもご紹介した通り、断熱材と壁の中の様々なものの間にできた隙間「断熱欠損」があると、この「内部結露」が起こってしまいます。
水蒸気を含んだ湿った暖かい空気は、温度が低い方へと流れます。
冬は屋内から屋外へ、夏は屋外から屋内に移動するのです。
このとき、壁・床下・天井などから暖かい空気は出たり入ったりします。温度が低く、水分をあまり含まない場所に湿った暖かい空気が移動すると、急激に冷やされ結露が発生してしまうのです。
これが「断熱欠損」となった壁の隙間で起こると「内部結露」となるのです。
その内部結露となった水分を断熱欠損を生み出しやすい断熱材のグラスウールやロックウールなどが含んでしまうと中々、外に出すことが出来ず断熱材自体が溜め込んでしまうのです。
するとまず、カビが発生しやすくなります。カビはぜんそくなどを引き起こす原因になりますし、カビをエサとしているダニも発生し、さまざまなアレルギーを引き起こします。
また、湿気で家の骨組みである木を腐らせてしまうことにもなります。
内部結露を放置することは、家の寿命を短くするだけでなく、住んでいる人の健康面にも大きな影響を与えてしまうのです。
- 熱橋(ヒートブリッジ)
熱橋(ヒートブリッジ)とは、建物の中で、局部的に熱を伝えやすい部分のことです。
熱の橋渡しをするということで、熱橋(ねっきょう・ヒートブリッジ)というのですが、簡単にいうと熱がたやすく通過できてしまう場所ということですね。
まさしく断熱欠損が起きている部分は断熱がなされていないことになるので、簡単に熱が通過してしまい、他の部分に折角、断熱材を施工していても、断熱欠損している部分のせいで断熱材の役目を最大限発揮することができなくなってしまいます。
こうなるといくら暖房や冷房をきかせても、中々程よい室温になりにくくなります。
これではエネルギーがだだ漏れ状態になり、電気代も高くなってしまいますね。
エコやコストカットなどの面でも熱橋(ヒートブリッジ)は大敵ですね。
断熱欠損による内部結露に対策法はある!?
今、暮らしている家に内部結露が発生しているかもと不安に思う場合は、すぐにできる方法として、湿度を調節することです。
除湿器やエアコンのドライ機能、換気などで湿度が高くなりすぎないよう注意することはやるべきでしょう。弊社が施工している愛知県では夏は湿度が高く、冬は湿度が低い傾向にあります。主に日本の太平洋側では同じような気候の場所が多いでしょう。
すると夏場は積極的に除湿する人が多いと思いますが、冬場の加湿しすぎには注意が必要です。
湿度60%から70%程度を心がけるよ良いでしょう。
もちろん、これから新築される方も湿度のコントロールは心がけるべきですね。
また新築の場合は、防湿気密シートを張るという手もあります。防湿シートを張ると室内側から壁内へ多湿な空気が入るのを防ぐことができるので冬型結露には効果が見込めます。ただし、夏型結露を起こす可能性もあるので、しっかりと対策をしたい場合は結露計算をしてもらうと良いでしょう。
どんな断熱材がいいの?
今までのお話しで断熱欠損ができてしまうと後から修復することがとても難しくなるし、コストもかなり高くなってしまうというのはお分かりいただけたと思います。
では、断熱欠損を作らないためには、どんな断熱材を選べば良いのでしょうか。
それは、現場発泡系の断熱材と吹き込んでいく充填系の断熱材です。
現場発泡系の断熱材は、優れた断熱性や施工のしやすさなどで人気で湿気に強い物も多く、近年注目を集めています。
モコモコと膨らんで小さな隙間にも入るので断熱欠損は起こりにくいのが特徴です。
種類としては、
・ビーズ法ポリエチレンフォーム
いわゆる発泡スチロールと同じ素材です。
柔らかく軽量で加工しやすく、水を吸わないという特徴から、結露の対策にも役立ちます。
発泡プラスチック系断熱材の中では安価であるものの、無機繊維系(グラスウールなど)の断熱材に比べると価格は割高です。
・硬質ウレタンフォーム
ポリウレタン樹脂に発泡剤を加えた物。
ボード状の素材の他、施工箇所に直接吹き付ける工法もあります。
気泡に含まれる小さなガスが熱の伝導を抑えるため、優れた断熱性を発揮します。
・フェノールフォーム
フェノール樹脂に、発泡剤や硬化剤を加えた物です。
熱を加えると固くなる特徴があるため、非常に燃えにくく、有毒ガスが発生する心配はほとんどありません。
熱伝導率が0.019~0.036W/(m・K)と圧倒的に低く、耐久性にも優れているので、高い断熱効果を長期にわたって得られます。
ただ一番のデメリットとしては、他の断熱材に比べて価格がかなり高いという点です。
吹き込んでいく充填系の断熱材は、木質系の素材を利用した「木質繊維系」。
同じ繊維系のグラスウールなどと違うのは、天然素材であること。
自然素材特有のメリットを持つ優秀な断熱材です。
種類としては、セルロースファイバーがあります。
・セルロースファイバー
これは新聞古紙やダンポール、おがくずなどが原料となっています。
セルロースファイバーはさまざまな太さの繊維が絡み合ってできている素材。繊維と繊維の間に空気の層が形成されていて、さらに繊維1本1本にも微細な空気胞が存在しているので、熱や音を通しにくい性質があります。吸放湿性にも優れているので、湿気を溜め込みません。リサイクルしているので、非常にエコでもあります。
ただ、発砲系断熱材も吹き込む充填系断熱材も、壁の中に隙間なく埋めるのでリフォームなどで配管などの取り替えが困難になります。
これはデメリットと言えるでしょう。
さいごに・・・
いかがでしたでしょうか。
断熱欠損とはどのようなものか、断熱欠損を作らない断熱材についてもご紹介しましたが、
実は断熱欠損はどの断熱材でも起こりうることなんです。
断熱欠損が起こりにくい断熱材を選んだとしても、その施工を適正に行われなかったら断熱欠損は起こってしまうのです。
断熱材の種類選びももちろん大切ですが、信頼できて適正な施工をしてくれる工務店を選ぶことが一番重要です。
ご覧いただいたように断熱材には様々な種類があります。また、それぞれにメリットもデメリットもあります。
その為、「この断熱材が一番良い」という正解はなく、会社によって考え方や得意とする分野も様々です。
気になる断熱材はあるけど、どう選んだらよいのかわからないし、どの断熱材が最適なのか自分では判断できないと思われた方も多いと思います。
信頼できる工務店選びにもつながりますが、気になる断熱材を使っている工務店いくつかに話を聞いてみるのはとても大切だと思います。
もちろんコストも気になると思いますので、相見積もりをするのも忘れずに。
私たちアトリエプラスが断熱欠損をおこさないという観点でおすすめする断熱材は、発砲系のウレタン、またはセルロースファイバーです。
また先程のデメリットの部分でもお話ししましたが、将来の配管などの取り替えが困難にならないように、断熱層とは別に配線や配管用の空間を作ることもできますので安心してお任せください。
家を建てるだけでなく、その先もずっと安心して過ごしていただくために、
私たちアトリエプラスはいつでもご相談をお待ちしております。