「全館冷暖房」って何? メンテナンス方法まで大解剖

家づくり
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前回のブログで、「高断熱住宅」をかなえるための、断熱材や工法などの具体策をご紹介しました。

住空間の温度を快適に保つために、一番優先度が高いのが、建物の断熱性能を上げることです。高断熱住宅でなければ、廊下やトイレ、階段や脱衣スペースなどの「居室以外」の空間は、外気の影響を受けやすく、エネルギーに大きなロスが出てしまいます。

でも、断熱性能を上げただけでは、家全体の温度をムラなく一定に保つには今一つ。そこで、取り入れたいのが「全館冷暖房」という選択肢です。

今回は、家中、どこに行っても「暑い」「寒い」と感じるストレスがない心地よさを手に入れる方法をご紹介します。

なぜ「全館冷暖房」は24時間付けっ放しにする?

1台のエアコンで家全体の温度を管理する「全館空調システム」が主流となっている欧米に比べ、日本は「居室ごと」に冷暖房器具を取り付けるのが主流ですよね。

廊下やトイレなど「今使っていない場所」まで冷やしたり温めたりするのは「省エネではない」と考える人が多いですし、空調を切らずに外出、ましてや小旅行などに出かけるなんて、ありえないと考える人も多いのではないでしょうか。

全館冷暖房の場合はつけっぱなしが◎

ところが、「全館冷暖房」の場合、空調を24時間付けっぱなしにすることが大切。なぜなら、エアコンは居室という小さな区画に比べ、家全体を冷やしたり温めたりするには、当然大きなエネルギーを使いますが、一度、適温になった住居内の温度を一定に保つのは、さほどエネルギーを必要としないからです。

ですから、外気の影響を極力抑えられる高断熱住宅であれば、「全館冷暖房」を導入することで、さほど電気代を気にすることなく、家全体で適温になった空気を一定の温度に保つことができます

確かに、居室単位の小さな空間のみを空調するのに比べ、「全館冷暖房」の方がどうしても少しだけ電気代は高くなるケースが多いです。弊社のシミュレーションによると、36坪くらいの住宅で、年間3000円ほど高くなるという結果が出ています。

ですが、逆に年間で電気代を3000円プラスするだけで、厳しい暑さの中、仕事に疲れて帰ってきた時や、寒い冬の朝に布団から抜け出す時、冬の夜の入浴やトイレの時に、「暑い!」「寒い!」と感じない住環境が手に入るとしたら、良い選択だと思いませんか?

しかもその環境が、健康にも良い結果が出るとなれば尚更です。

では電源を切るのはいつか? というと、春や秋、長期の外出時が考えられます。しかし、冷暖房の必要がなくても、換気システムを兼ねている場合は、365日、稼働する必要があります。電源を切ってしまうと、住宅内の空気が滞ってしまうので、注意してください。

空気の流れをデザインする全館冷暖房「パッシブエアコン」

最近では、全館空調システムを選ぶ人が少しずつ増えており、さまざまなシステムが登場しています。そこで、弊社がおすすめしたいのが「パッシブエアコン」です

暖かい空気は下から上に移動し、冷たい空気は上から下に移動しますよね。その空気の流れを家全体でデザインすることで、小さな能力のエアコン1台で住宅全体を冷暖房できるのが最大の魅力です。

まずはパッシブエアコンの特徴を解説します。

風が直接体に当たらず、冬は足元から暖か

「パッシブエアコン」は住宅全体をゆっくり温度調節する空調システムです。一般的な指標として、室温に注目しがちですが、気流や温度のムラを感じさせない環境の方が、体感的に心地よさを感じられます。

「パッシブエアコン」の場合、冬は、エアコンで温められた空気をダクトで床下へ送り、床面に設けた吹き出し口から、暖かい空気を室内に放出。暖かい空気が下から全館に流れることで、足元が冷える「底冷え」から解放されますし、温度差によるヒートショックの心配もなくなります。

逆に夏は、冷たい空気を天井に設けた吹き出し口から放出し、冷たい空気がゆっくりと下へ移動することで、家全体を冷やしていきます。

冷暖房時の空気が家全体に柔らかく広がるので、エアコンの吹き出し口から勢いよく出る乾燥した温風や、冷風が直接体に当たるストレスがなくなります。

家の中も外も見た目がスッキリ

「パッシブエアコン」の本体は、天井裏に設置するため、居室ごとにエアコンを設置する必要はなく、室内の見た目がスッキリします。

また、エアコン1台で全てを管理するので、もちろん室外機も1台のみ。屋外もスッキリ省スペースで、外観がスマートな印象になります。

ムダなく効率的な省エネ運転が可能

「パッシブエアコン」は、24時間快適な温度に保ちながら、ムダなく効率的な省エネ運転ができます。主に北海道や沖縄などを除く地域で使用でき、40坪前後の住宅であれば、4.0kWもしくは5.6kWと比較的小さな性能のエアコン1台で、全館を冷暖房できるシステムです。

省エネ運転には、設定温度を上げすぎたり下げすぎたりしないことがポイントなので、暖房設定温度は20〜22度、冷房設定温度は26〜28度がおすすめ。

不在時や就寝時には「おでかけスイッチ」を押すことで、通常運転の設定温度から少し控えめな温度に自動調整してくれる「キープ運転」もできるほか、1日の中で「通常運転」と「キープ運転」の時間帯を設定することもできます。初期設定では±3度に設定されていますが、お好みで調整も可能です。

パッシブエアコンのシステムを導入すると同時に、例えば窓辺に落葉樹などを植えることで、夏には木陰、冬には陽光が差し込むようにしたり、すだれやカーテンなどを使ったりして日射のコントロールも併用するとより効果的ですよ

全館冷暖房「パッシブエアコン」のお手入れは?

室内ユニットについている、4つの筒状のフィルタを3カ月〜1年に一度、取り外して、掃除機で汚れを吸い取るか、水洗いします。また、天井や床にある吹き出し口の掃除は2〜4カ月に1回行ってください。

ちなみに、ホコリの侵入を防止しているダクト内の清掃は、基本的に不要です。

全館冷暖房は「全熱交換換気」でさらに快適に!

以前の「シックハウス症候群」の対策をご紹介したブログ記事で、機械で強制的に換気をする「第1種換気」と、自然に給気し、換気扇などで排気する「第3種換気」の違いをご説明しました。

全館冷暖房システムの「パッシブエアコン」には換気機能はありませんので、別途、換気システムを整える必要があります。ちなみに、「第1種換気」でも「第3種換気」のどちらのでも「パッシブエアコン」を導入することは可能ですが、「第1種換気」の中でも、エネルギーを逃しにくい「全熱交換換気」がおすすめです

実は、住宅の駆体性能が上がり、高気密・高断熱になることで、換気によるエネルギーのロスは、その割合が増えています。そこで、「全熱交換換気」システムは、外気を室温に近付けて取り込みます。換気を熱交換型にすることで、ロスを抑えることができます。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                             

さらに「パッシブエアコン」専用の全熱交換換気システム「Path(パース)」なら、冬の乾燥や、梅雨・夏のジメジメとした湿気も調湿しながら換気が可能。湿度対策をすると、カビやダニの発生緩和に繋がるので、呼吸器疾患があったり、アレルギー体質に悩まされたりしている人はぜひチェックしてみてください。

家を「安心できる空間」にする、空気清浄機能の追加も

「パッシブエアコン」のみでは、空気清浄や除菌の機能はないため、新型コロナウイルスやインフルエンザ対策として、空気感染を懸念する場合は、窓を開けるなどの換気も必要になってきます。

また、せっかく全館空調を導入しても、それそれの居室ごとに空気清浄機を配置したら、結局、それぞれのフィルター掃除などがついて回りますよね。せっかく居室ごとのエアコンがなくなったのだし、そのままスッキリした空間を保ちたい!という人には、空気清浄機能を追加するアップグレードの検討をおすすめします。

「パッシブエアコン」に付けられる空気清浄ユニット「OM e FILTER」は、喫煙所や病院の手術室などでも採用されている、プロ仕様の電子式集塵フィルタを使用。一般的なろ過式のフィルタに比べて、高い集塵力があり、長期間、変わらない性能を発揮するのが特徴です。

花粉のような大きな粒子はもちろん、カビ・ダニまでしっかりと吸着するほか、粒子が小さいことで知られるPM2.5は98%、さらに小さい結核菌などの微小粒子でも96%を捕集してくれます(※1)。部屋以外の空間にあるホコリも逃さずキレイにしてくれるので、「普段の掃除が楽になった!」という声も少なくありません。

目詰まりもしにくいため、長時間使う上で風量の変化がほぼないのが魅力。空気清浄機能を追加した場合、冷暖房を必要としない季節は「パッシブエアコン」を送風運転にしますが、24時間稼働したとしても電気代は1日たったの8円。1カ月連続でも250円ですみます(※2)。

設置は、「パッシブエアコン」に取り付ける形なので、当然、一軒につき1台の設置でOK。しかもお手入れは年に1回、メインフィルタを付け置き洗いするだけなんです! もちろん脱着も簡単で、自宅にある台所用の中性洗剤で洗えますから、メンテナンスの手軽さも見逃せない魅力ですね。


いかがでしたでしょうか。

「エコじゃない」「電気代の無駄使い」なんて印象がある「エアコンのつけっぱなし」も、全館冷暖房を導入すれば、思いの外コストをかけずに叶うことがお分かりいただけたと思います。

何より、「暑い」「寒い」という温度差はもちろん、空調の風を体に受ける環境は、離れてみると、思いの外ストレスであったことを実感できるはずです。玄関に足を踏み入れた瞬間、ほっと心が解れるような、心地よい住空間を手に入れませんか。

※1 粒子の大きさごとに正確な集塵効率が測定できる「計数法」で測定。空気中の有害物質をすべて除去できるものではありません

※2 電気料金単価26円/kWh、1日24時間運転した場合

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